電通PRなどが”インターネット上の風評被害の把握から対応策のコンサルティング、対応実施、信頼回復までを一貫してサポートするサービスを8月21日より開始”したようです。
この事業はマッチポンプなのかそれとも純粋なサービスなのか議論が盛り上がりそうでいろんな意味で今後が気になります。確かに口コミサービスとして商品のPRをブロガーなどに依頼しながらインターネット上の世論や評判を上げるサービスが在るので、この逆もまたありと言うわけ。
サービスの解決や運営によっては色々とあんな事やこんな事が出来てしまうわけで、一応その事業内容とやらをおさらい。
各社の役割とサービス内容
<写真:電通PRのサイトより>
■ 緊急時対応パック<料金:45万円〜>
>1)リスクモニタリング:ネット上の風評を迅速に把握し、報告します。(30万円)
とりあえず、風評を迅速に把握して報告してくれるサービスだけなら30万円・・・と。これは2chとかブログ検索(ロボットも含む)などで特定のキーワードを元にクライアント企業に対するネガティブな意見を探してくれるサービスですね。フムフム、忙しい企業の広報担当には便利かも。
ただ、炎上している時はすでにネットでもある程度話題になっているので、否応なしに目に入っている気がします。。となると、どのくらい“迅速”なのかがカギですね。情報に疎い老舗企業向けか、上司に報告資料を作成する際の“イイワケ作成代行”みたいな利用イメージか?
>2)対応策のコンサルティング:事態を踏まえ、被害軽減、再発防止・信頼回復の視点で、広報コンサルティング、または、法務コンサルティングを行います。(15万円〜)
こちらはコンサルティングサービスとしてこの辺は元々広報やPRの緊急対応コンサルで提供しているメニューを、そのままWebに当てはめているだけなので既知のメニュー。
一方で、被害軽減の方はどのようなフローを想定されているのだろうか・・。 「問題があれば素直に謝る」という事以外で、ネットの風評被害を軽減する方法は浮かばない。。。むしろ、逆に相手を攻撃するということか?!攻撃は最大の防御と言いますし。
事実無根の風評ならば誠実に真相を公開するプレスリリース作成などの段取りとかなのでしょうか?2chで事実をいろんなスレに貼り続けるとかかな。
■ 予防パック<料金:随時見積>
>1)リスクモニタリング :平常時から情報収集・分析し、「リスクの芽」を見付けます。
この辺からなんだか、面白い。彼らの定義する”リスク”がないとクライアントとの契約が切られてしまいますので、色々「リスクの芽」を探し出して報告する事になりそうですね。
ネットですから”リスク”なんて自作自演も可能ですからね・・。何をもってリスクと言えるのか、この辺がマッチポンプ型と言われかねない要因かな。
もちろん、倫理観のある企業が提供するサービスならばそんなことは無いとは思いますが、風評被害バスターズとしてサービスを提供する企業に対して、このような感想をもたれるという”風評リスク”があるわけです。彼らは自身に対する風評に対してどう対応するのでしょうか?
>2)対応策のコンサルティング :「リスクの芽」に対し、予防・回避の視点で広報・法務コンサルティングを行います。
こちらも、「リスクの芽を回避する方法」が気になりますね・・。これまでの様に大手広告代理店を通じて「広告」というプレッシャーをタテに各媒体へ睨みをきかせることはもはやネットの世界ではムリなわけで。下手に2chに書き込みなどすると炎上してしまうかも知れませんし。
是非、アメブロ広報の方とかこのサービスを利用したらどうなるかとか、事例が欲しいところですね。やはり、根本的には風評被害を生まない社風を作る事こそが解決策であって、被害を生んでしまってからでは遅いと言うのがもっぱらの説であると思うのですが。
まずは風評被害市場を確立することがポイントか?
こういう記事も出てきてしまう状態なので、少なくともまずは「風評被害市場」を立ち上げて、経営者などに出費を決断させる土壌を構築することが先決のようです。
そもそも、アンチウイルス市場も強烈なウイルスによる被害が大きく報道されてから市場が確立し、アンチウイルスなどネットセキュリティに資金を使う事への抵抗が薄れた事により新しい市場が構築されてきました。
そう言う意味では、風評被害による企業の重大な損害がニュースによって流れることがこのようなビジネスの大きな転換点になりそうな気がします。PR事業を踏まえた産業創造型マーケティングで行けばこんな感じでしょうか?
【事業拡大の為のアプローチ案】
1.ネット風評被害防止サービスの立ち上げ
(対策といえばこのサービスというパッケージで提供)
2.風評被害に関するリスクのパブリシティ展開
(雑誌記事やブログなどでPR、担当者レベルで認知)
3.風評被害の事例が発生&報道
(合わせて対策方法としてサービスの存在が報道される)
4.風評被害に対するリスク認識が広がる
(決裁権のある幹部が認知して担当に指示)
5.サービスに問い合わせ殺到
(独占または老舗のサービス提供企業へ契約が集中)
↓
市 場 拡 大 & 業 績 拡 大
風評被害の増加がビジネスを伸ばすという矛盾
アンチウイルス業界がウイルスを作る側と防御する側の奇妙な均衡によって成り立っているという現実を考えると、風評被害についても、風評の発生源である2chや ブログ記事などでの活動とその対策活動が定期的に行われることで「市場が伸びる」という事が予想されます。
この辺の成長戦略まで考慮したビジネスならば、それはそれでネット口コミなどのPR活動における逆応用事例として十分マーケット創造と将来性の計算ができる事業と言うことになりそうです。
・・ま、まずは親会社の風評被害を押さられるかというのが試金石ですね(苦笑)。
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