元社会人大学生のIT生活

”ネット風評被害バスターズ”の将来性→まずは親会社で成功事例を見せよ！

　電通ＰＲなどが”インターネット上の風評被害の把握から対応策のコンサルティング、対応実施、信頼回復までを一貫してサポートするサービスを8月21日より開始”したようです。

　この事業はマッチポンプなのかそれとも純粋なサービスなのか議論が盛り上がりそうでいろんな意味で今後が気になります。確かに口コミサービスとして商品のＰＲをブロガーなどに依頼しながらインターネット上の世論や評判を上げるサービスが在るので、この逆もまたありと言うわけ。

　サービスの解決や運営によっては色々とあんな事やこんな事が出来てしまうわけで、一応その事業内容とやらをおさらい。

各社の役割とサービス内容

＜写真：電通PRのサイトより＞

 ■ 緊急時対応パック＜料金：45万円〜＞

＞１）リスクモニタリング：ネット上の風評を迅速に把握し、報告します。(３０万円)

　とりあえず、風評を迅速に把握して報告してくれるサービスだけなら３０万円・・・と。これは２ｃｈとかブログ検索（ロボットも含む）などで特定のキーワードを元にクライアント企業に対するネガティブな意見を探してくれるサービスですね。フムフム、忙しい企業の広報担当には便利かも。

　ただ、炎上している時はすでにネットでもある程度話題になっているので、否応なしに目に入っている気がします。。となると、どのくらい“迅速”なのかがカギですね。情報に疎い老舗企業向けか、上司に報告資料を作成する際の“イイワケ作成代行”みたいな利用イメージか？

＞２）対応策のコンサルティング：事態を踏まえ、被害軽減、再発防止・信頼回復の視点で、広報コンサルティング、または、法務コンサルティングを行います。(１５万円〜)

　こちらはコンサルティングサービスとしてこの辺は元々広報やＰＲの緊急対応コンサルで提供しているメニューを、そのままＷｅｂに当てはめているだけなので既知のメニュー。

　一方で、被害軽減の方はどのようなフローを想定されているのだろうか・・。 「問題があれば素直に謝る」という事以外で、ネットの風評被害を軽減する方法は浮かばない。。。むしろ、逆に相手を攻撃するということか？！攻撃は最大の防御と言いますし。

　事実無根の風評ならば誠実に真相を公開するプレスリリース作成などの段取りとかなのでしょうか？２ｃｈで事実をいろんなスレに貼り続けるとかかな。

■ 予防パック＜料金：随時見積＞

＞１）リスクモニタリング　：平常時から情報収集・分析し、「リスクの芽」を見付けます。

　この辺からなんだか、面白い。彼らの定義する”リスク”がないとクライアントとの契約が切られてしまいますので、色々「リスクの芽」を探し出して報告する事になりそうですね。

　ネットですから”リスク”なんて自作自演も可能ですからね・・。何をもってリスクと言えるのか、この辺がマッチポンプ型と言われかねない要因かな。

　もちろん、倫理観のある企業が提供するサービスならばそんなことは無いとは思いますが、風評被害バスターズとしてサービスを提供する企業に対して、このような感想をもたれるという”風評リスク”があるわけです。彼らは自身に対する風評に対してどう対応するのでしょうか？

＞２）対応策のコンサルティング　：「リスクの芽」に対し、予防・回避の視点で広報・法務コンサルティングを行います。

　こちらも、「リスクの芽を回避する方法」が気になりますね・・。これまでの様に大手広告代理店を通じて「広告」というプレッシャーをタテに各媒体へ睨みをきかせることはもはやネットの世界ではムリなわけで。下手に２ｃｈに書き込みなどすると炎上してしまうかも知れませんし。

　是非、アメブロ広報の方とかこのサービスを利用したらどうなるかとか、事例が欲しいところですね。やはり、根本的には風評被害を生まない社風を作る事こそが解決策であって、被害を生んでしまってからでは遅いと言うのがもっぱらの説であると思うのですが。

まずは風評被害市場を確立することがポイントか？

　 こういう記事も出てきてしまう状態なので、少なくともまずは「風評被害市場」を立ち上げて、経営者などに出費を決断させる土壌を構築することが先決のようです。

　そもそも、アンチウイルス市場も強烈なウイルスによる被害が大きく報道されてから市場が確立し、アンチウイルスなどネットセキュリティに資金を使う事への抵抗が薄れた事により新しい市場が構築されてきました。

　そう言う意味では、風評被害による企業の重大な損害がニュースによって流れることがこのようなビジネスの大きな転換点になりそうな気がします。PR事業を踏まえた産業創造型マーケティングで行けばこんな感じでしょうか？

　【事業拡大の為のアプローチ案】

　１．ネット風評被害防止サービスの立ち上げ
　　（対策といえばこのサービスというパッケージで提供）　　
　２．風評被害に関するリスクのパブリシティ展開
　　（雑誌記事やブログなどでPR、担当者レベルで認知）
　３．風評被害の事例が発生＆報道
　　（合わせて対策方法としてサービスの存在が報道される）
　４．風評被害に対するリスク認識が広がる
　　（決裁権のある幹部が認知して担当に指示）
　５．サービスに問い合わせ殺到
　　（独占または老舗のサービス提供企業へ契約が集中）
　　　　　　　　　　　↓
　　市　場　拡　大　＆　業　績　拡　大

風評被害の増加がビジネスを伸ばすという矛盾

　アンチウイルス業界がウイルスを作る側と防御する側の奇妙な均衡によって成り立っているという現実を考えると、風評被害についても、風評の発生源である２ｃｈや ブログ記事などでの活動とその対策活動が定期的に行われることで「市場が伸びる」という事が予想されます。

　この辺の成長戦略まで考慮したビジネスならば、それはそれでネット口コミなどのPR活動における逆応用事例として十分マーケット創造と将来性の計算ができる事業と言うことになりそうです。

・・ま、まずは親会社の風評被害を押さられるかというのが試金石ですね（苦笑）。

自民党よ鉄道・バス料金無料（一部地域）で対抗してみよ！

　あ、今回のネタは厳密に言うとジョークです。しかも、今回の「無料化」は都市間交通の話ではなく、各都市圏内の交通機関に限って無料にするという所がポイントです。

　先日、とある地方に行ってきたのですが、 鉄道駅の周辺は広大な駐車場になっていました。昔はデパートや商店街に鉄道貨物ヤードがあったのに今は全部駐車場。パークアンドライドの対象として、東京へ向かう特急に乗る客に使われています。

車で行くと駅は単なる通過点

　自由に駅につける車は結構ぎりぎりに乗りつける人が多いみたいで、バスや電車で来るときのように乗り継ぎの時間にちょっと買い物みたいな行動はあまり起きていないようです。（もちろん、弁当やビールなんて人は相変わらずかってますけど）

　地方の観光拠点になるで駅に滞留させるためには、ある程度の乗り継ぎ時間を作って駅前で楽しむ仕組みが必要ですが車で送迎されてしまえばそれもありません。 結局、車にのってさっさと郊外の観光スポットやモールへと向かってしまうためますます、駅前がすたれて駐車場とシャッターが並びだします。

人口縮小に対応したコンパクトシティ化を

　一方で、車を中心とした地方の社会構築は若者が多いときはよかったのですが、７５歳以上の人口が大半となった高齢化社会にはフィットしません。利用者の減った電車やバスは本数の削減だけでなく、運賃の高止まりによってさらに手軽に使うことは少なくなり、いずれ廃線になっていきます。

　でも、車が運転できない高齢者には移動手段がありません。結果家に閉じこもってしまう世帯を増やしかねないのです。その改善案として、都市部への移住などが考えられていますが、さすがに全ての世帯を移住させるわけにも行きませんから、ある程度は地域に分散させる必要が在ります。

地域の足を身近にして住民の活動量を増やせ

　そこで、地方のバスや鉄道路線が充実し、気軽に利用できればまだ生活がしやすいだろうと言うことです。新しい道路を造ったり、高速道路を無料化するのもＯＫですが利用する人に視点を移して全ての人が使える手段を提供する事で人の移動を活発化させる方が生活に一層役立つのではないでしょうか？

　各地域の短距離の鉄道・バスが無料ならば未成年の方の利用や移動も増えますし、ターミナルへの人の流れもその路線上にあれば戻ってくるはずです。（バス路線が郊外ＳＣ終点ならばよりＳＣが強くなる可能性もありますが・・）

　移動が増えれば人の消費は増えます。当然、家にいる時間より外にいる時間が増えるわけですから新しい発見やコミュニケーション、文化など様々な経済的なメリットに繋がるベースが多くなるわけです。それに車社会の促進だけではなく代替手段の準備もしておかなければ高齢者社会に対応できないでしょう。

　自民党さん、より生活者に近い視点を持てば復活できるかもしれませんよ。ただ、財源どうするかは・・・住民税が上がっちゃうかこれだと。やっぱりこの政策はジョークですかね・・。

体験談を捏造→「アトピー効果化粧品」事件に見る”口コミ”の力

　ソーシャルマーケティングの基本はユーザーの「口コミ」。ブログや掲示板の発達で伝播のスピードが速くなる一方で、信頼出来る人の「口コミ」かどうかを判断する事無いままに感想を信じこんでしまう事例が多くなっているようです。今回はそんな話。

社員が「体験談」捏造か　「アトピー効果化粧品」事件
NOATOクリーム事件まとめWiki

被害者が加害者側に荷担してしまう事も

　今回の事件はNOATOクリームなる商品が「アトピーに効く」という事で販売され、それが”口コミ”で広がってブレイクした所、実は薬事成分（しかも強力なステロイド）が含まれていたというオチ・・いや、これは判る人なら判りますが結構な問題なのです。

 

 

 

 

【画像】問題となった”NOATOクリーム20g”
　　　　（販売元のサイトより）

　事件の舞台となってしまったのは「＠cosme」や「Mixi」といったソーシャルネットワーキングサイト。商品の効果や効能を強調した口コミが多数書かれて、人気に火が付いてしまったとのこと。

　その中には「天然成分のみ！でアトピーに効く」といった偽情報の口コミ内容を鵜呑みにするだけでなく、さらに他の場所でウソ情報を元に書き込みをしてしまい、２次被害を広めてしまった人もいるようです。

薬事法違反は後を絶たない

　健康ビジネスもそうですが、「○○（病気）に効く・治る」は薬やトクホの食品で無い限り薬事法に違反します。ネットで検索すると出版など沢山出てきますが業者が情報を発信したら即アウト。薬局で売っている食品でも同様です（これって薬局やお店でも、お店のPOPとかで結構書いてありますがアウトなんですよね・・違反が多すぎて野放し状態ですが東京都とかは比較的厳しめに運用中なので少ない様です）。　

　ただ、実際に民間療法的に「○○に効いてしまう」商品があるのも事実で、そういう商品を扱う業者が生み出したマーケティングが「口コミ」であり「パブリシティー」なんです。化粧品やダイエット商品なんてギリギリの線でせめてますよね。

　ちなみに、特定商品や原料の感想談や効能を本にしてまとめて売るのも本を販売したいからと言うよりも、出版なら広告ではないのでOKという古典的な裏技を用いたマーケティング手段。（その本を広告や紹介することで間接的に広告やPRが成り立つワケですが）

他人に語らせればOKという罠

 　「使用した人の感想です」というクレジットでぼかしながら商品を褒め称えるケースがよくありますが、これは「業者が話しているわけではありませんよ」と明記して”効能”を間接的に伝えているようなものです。

　これらの表現はダイエットと美容広告は薬事法の範囲外なので誇大広告でなければセーフなので最近本当によく耳にします。テレビの情報（グルメ）番組でも「美しい毎日に〜」「お肌がプルプルに〜」「ダイエットに効果的〜」など「美容」に関する言葉を並べながら薬効ギリギリのパブリシティを行っていますね。

　”情報提供”が横行してモラル的にギリギリにチャレンジし続けているようですが、いつか広告の世界で発生した事がPRや口コミの世界でもおきないか心配です。

感想を"ねつ造"する為には

　今回のクリームの件では、感想が怪しいと早い段階から言われていたようです。理由は「IDが新しい」「プロフィールを見ると関係者っぽい」 から。そして、過度なマルチポストなど他の事例でも怪しいを探すのに参考になりそうな特性があったとされます。

　でも、逆に言えば「古いID」で「プロフィールがそれっぽい」人に感想を書いて貰えばそれなりに口コミの力をつかってウソ情報であっても信じ込ませることができると言うことですね・・・あ、これって。。。

ブログマーケティングと紙一重

　”プロのブロガー”なる人たちがやっている「ビジネス」は実はいつでもこのような事件に巻き込まれるリスクが在りそうです。よく、私自身もこのサイト以外のブログで「○○について指定したキーワードを用いて感想をお願いします」という依頼メールが来ますが、指定されたキーワードをつなげれば結局、企業の意図した文脈になってしまう事が多いです。

　私は本文に指定がある記事の依頼は受けませんが、検索すれば安易？に記事になっているブログは沢山ヒットしますのでその辺の”記者としてのプライド”は他のメディアに比べて低めかなとも思います（別に自分がプライドが高いとは思っていませんけど）。

　また、価格を調べる掲示板なども、企業サポートの別働隊（工作員）としてユーザーIDを取得し「有意義な情報」を流しつつ使用感や良い点を書き込み続ければ、ユーザーとしての”信用”を背景にそれなりの”商品評価”を閲覧者に植え付けることは可能になりそうです。

個人空間を制したネットというメディア

 　玄関を出ると人は自身を公共空間で生活する為のモードに変換し、警戒心をもって生活しますが、自宅の中（特に個室）ではリラックスして不用意に心を開いてしまいがちです。

　そして、プライベート空間にあるパソコンのディスプレーの先は公共空間であるという認識がまだまだ薄いので、ネットの口コミに対して「本心」からフレンドリーな反応を示してしまう・・。

　インターネットを教育として勉強した事のない世代が利用者の大半を占める今の時代はまだまだユーザー側も過渡期で試行錯誤しながら使っている状況で、付け入る隙が沢山在るようです。

念願のオモチャを手に入れた企業のイタズラは続く

　こんな消費者動向を左右する「本心」を上手く取り込んだインターネットは企業側に取っては待ち望んだツールですが、これをメディアとして考えれば、他のマス媒体とは異なり企業が直接支配できるという特性があります。

　直接コミュニケーションの手段としてネットを媒体として直接取り込んだ企業はその使い方に慣れていないため、今後も一線ギリギリまで試行錯誤しながら使用してくる企業が出てくるでしょう。それは周囲の注目を得るためにするイタズラの限界を探る子供の様なものです。

　意図せずオモチャを手に入れてしまった企業と、その対応に翻弄され続ける消費者達。これらを上手くしつける事ができるのは一体誰なんでしょうか？そこに既存メディアの生き残りのカギがあるのかもしれませんね。

見えてきた”クラウドリスク”→Gmailが有料サービスになる時・・あなたは？

　このネタはまあ、最近のクラウドバブルの延長でたまに耳にする「クラウドリスク」なる話。実際にこれを予見する似たような動きが出てきたので改めて考えてみることに。。

歴史は繰り返す、MSらしいアプローチ

MS、「Office Live Small Business」で方針を撤回--ドメイン更新料を課金へ

　Office Live Small Businessは中小企業向けのホームページサービスで当初は、ドメインだけでなくサイトのテンプレート、メール、グループウェアなどを含めた無料のサービスでした。ただ、「個人認証の手段」と称してクレジットカードの登録を義務づけており、課金インフラを構築していたので、当初から無料と言いつつも、今回の件は一種の確信犯的な動きかなと感じます。

　しかも、「ドメイン」というオンラインビジネス上不可欠な要素を人質にしているのでそう簡単には乗り換えできません。なによりも、「クラウド」的にオンライン上でサイトテンプレートやメール、広告など様々なサービスを一元的に提供しているため、そこでビジネスをやる側にとっては、一度使い出すとそう簡単には移行できません。

　結局、マイクロソフトは「無料」というキーワードで集客して、自身の事業としての存続が苦しくなってきたら「有料」へとあっさり舵を切ったわけです。そして、”このサービスから撤退するぐらいなら、有料でも続けてもらった方がみなさんにとってもマシしでしょう”・・・と言う感じでしょうか？（軽い恐喝みたいな話ですな）。

でも、OSも最初は無料で配っていましたし、歴史的に見ればMSらしいアプローチか。

企業では目に見えてきた「クラウドリスク」

　その昔、IT業界ではアウトソースと称して、運用部門や開発部門を他社のオフショア拠点に委託する動きが強くなりました。結果として「本体のIT技術やシステム運用能力が落ちて結果的に得られるはずのコスト削減や技術をロストしたのではないか」という議論が高まった気がします。

　当時、現場にいた人間としてアウトソースがすべて問題だったとは思いませんが、結果的に委託元である企業側のITマネジメント能力は落ちていったという事は否定できません。

　具体的には、技術のブラックボックス化だけでなく物理的に「現場が遠くなる」ことで、人と人のつながりで乗り切ってきたIT現場で非常事態での迅速（柔軟）な対応が出来なくなって行きました。業務指示書がないと動かないとか、「お願い」でちょちょっとやってもらえないとか・・。

人は自分の「見たモノ」や「繋がり」を優先する

　もちろん、後者自体が正しい業務の姿かどうかは判りませんが、結構現場というのは持ちつ持たれつで、お金だけでなく信頼関係など互いにフォローし合って成り立っていたモノです。この辺が底力としての日本の製造力というか現場を支えてきた面もあった気がします。

　いずれにしても、アウトソースを前提に変えてしまった制度もとで、立ち去った人もいる中でそう簡単には以前の状態に戻せません。結果として今でも社内だけではITの運用をマネジメントできない状況が続いている会社は多いようです。（大手企業のITコンサル依存体質も似たような状況）

クラウドは”トロイの木馬”

　そんな、ドロドロの現場を知ってか知らずか運用され続けているITの基盤サービスの”クラウド化”なのですが、これがカスタマー層でも同様に広がっていくと話は別になります。

　郵便、電気や水道と同じでもはや社会インフラとして無くてはならないサービスとなっているネットのメッセージングサービスですが、１人１メールアドレスから複数のアドレスを使いこなす時代へとニーズは上がっています。そのため、Gmailなどへ転送してフィルタやバックアップ代わりにしながら集中管理する人も増えてきているのではないでしょうか？

　このように、カスタマー層でも知らず知らずのうちに”クラウド化” が進む状況では、サービスのモノポリー化（独占）やサイロ化（閉塞）でいきなり有料化されると、代替サービスや移管手段が存在しないためにそのまま”税金”のように支払わざるを得ない可能性があります。

　OSがWindowsに支配されてしまったようにアプリケーションやサービスまでもクラウド化によって抜け出せない「囲い込み」が進んでしまうことになりそうです。

それでも使うだろうGmail・・・。

　わかっていても使ってしまう、これが人間。そこまでリスクがわかっていてもとりあえず今は無料で使えるので使ってしまいます。でも、GmailはもともとGoogleの主力である広告事業の一環であり無料奉仕ではないわけで、いつまでもタダで使える保証はありません。

　Googleの「無料ビジネスモデル」とは顧客に対して無料でビジネスを続けることがゴールではありません。あくまでも企業として発展し続けることがゴールであり、その手段がたまたま「最初は課金を伴わないサービス提供」だっただけです。コンテンツ課金のインフラが準備できればいつでも有料サービスへ舵を切ることが可能です。

　そういう意味では、今はまだ課金インフラがないため安心という考えもできますが、いずれ何らかの差別化を初めてプレミアムサービスなどを開始し、徐々に移管していくことは他社の事例なども見ると間違いないでしょう。

　このようにサービスを「便利性」で囲い込んでしまえばソフトバンク同様にグーグルもあっさり業績を回復させることはできるわけです。そして、それは営利企業としては当然の発想であり、責められるべきではありません。

クラウド化と分業の境界線

　普段、野菜を食べるのに、すべての人が畑を所有して種から育てる必要があるかといえばそうではありません。同様にサービスの分野でもある程度の分業とスケールメリットによる効率化が重要であるという議論も正しいと思います。

　ただ、企業は営利活動を基本としているという前提のもとで、常に代替え手段があるかどうかを考えて利用することが自分を守るためには必要なのかもしれませんね。

改悪傾向：ポイント経済がインフレ気味な件→ビックカメラSuicaカードに見る

　そう言えば、今月末でビックカメラSuicaカードのポイント交換ルールが大きく変わって、ビックポイントからSuicaへの交換単位が大幅に下がってしまいます。（「1000ポイント→1000円チャージ」が「1500ポイント→1000円チャージ」へ）

【参考】ビックカメラSuicaカードについて2つの重要なお知らせ

　1.ビックポイントからSuicaへの交換単位の変更について
　2.ビックカメラSuicaカードのご利用で貯まるポイントの変更について 

　こういう、ポイント制度の変更は大変多くて、加入時にお得だと思ってカードに入りポイントをためてきた人にとっては残念きわまりない事態です。しかも、積極的にデメリットに関してユーザーに説明しない場合が多く、気づかない人も多いのでは？と思ったりします。

Suicaへの交換は今月中に全て行う！

　今回の件はコレにつきますね。９月以降に貯めるポイントは新制度に準じてビューサンクスポイントも貯まるため交換レート的にはSuicaとルミネ商品券への併用である程度は現状に近いイメージになりますが、今まで貯めたポイントに関しては一方的にSuicaへの交換レートが悪くなるだけ。

＜＜ビックカメラSuicaカードHPより引用＞＞

　2009年9月1日より、ビックポイントからSuica部分への入金（チャージ）する際の交換単位の変更及びお受取までの期間短縮を実施いたします。

 

＜＜引用終わり＞＞

　もちろん、ビックカメラで買い物したい方がポイントを使う分にはレートはそのまま1ポイント1円換算で使えますが、ポイント使用の買い物にはポイントが付かないという制約には変わりありません。

　ビックカメラSuicaカード最大の利点はこの「ポイントで買い物して付いたポイントをSuicaにしてビックカメラで使えばまたポイントが付く」という家電ポイントループだったので、これが９月以降出来なくなるとなると所有する意義するら再考する必要がありあそうです。

ルール変更では加算と交換の時差が企業のメリット

　この手のポイント交換ルール変更は多くは企業にとって都合の良い変更になる傾向が強いです。合わせてあまり影響が無いかのような加算ルールの変更も発表する事が多いですが、この「加算」と「交換」の 時差を利用してこれまで発行したポイントの価値を一気に下げてしまう事が最大の狙いです。

　つまり、一見「加算レートと交換レートがあまり変わらない」様な変更に見える以下の発表はポイントを8月31日までに使い切ってしまう人にとっては影響は少ないように見えます。しかし、現実的には8月末までにアクションしないまま新制度に突入する人が多くいると思われるため”静かに移行”できればそれだけビックカメラに取っては美味しい訳です。

＜＜ビックカメラSuicaカードHPより引用＞＞
　2009年9月1日ご利用分より、国内・海外のマークのお店やマークのお店（駅ビル等）でのご利用分で貯まるポイントを変更いたします。

＜＜引用終わり＞＞

　特に1000ポイント以下の人はSuicaに交換できないまま強制的に新制度に移行されてしまうので一方的な不利益なレートが適用されてしまいます。（Suicaベースでポイントの価値を見出していた人にはひどいインフレ状態です）

　ビックポイントについては今回の変更で、既存のポイントが「キャッシュ」となって大量に流出するリスクをほぼゼロに出来た事は大きなメリットになります。 これで、事実上ビックポイントはSuicaという電子マネー連動の「疑似通貨」から単なる企業が自由に価値を決められる「ポイント」に戻ったわけです。

ポイントは通貨なのか？

　近年、ポイントは企業において引当金の対象にするケースが増えて、企業の負担が高まっているとの調査が多くなっており、市場でも「お金」として意識されつつある様ですが、実際には企業の意志で簡単に”レート”が変わってしまう現状では通貨という認識はとても危険きわまりない感じですね。まさに、「ままごとでつかう葉っぱのお金」に近い感覚。

　ポイント制度自体も、スタンプカードも含めて企業が顧客囲い込みの手段（投資）として立ち上げるケースが多く、囲い込みの目標が達成した段階で「廃止」や「特典変更」などで回収に向かうことは容易に予測が付きます。

社債や株式を基軸にポイント制度設計という手も

　何れにしても「投資→回収」の流れをモットーとするビジネスの世界では、プリカ法の規定に基づき残高の1／2を供託している「電子マネー」とは違い、ルール無く自由に価値を設定できるポイントは企業の意志で常にインフレ傾向にあるようです。

　「ポイントの価値」については何れ消費者にも理解が進み、積極的な利用などで企業の”旨み”が減る一方で、競合他社との発行合戦で囲い込みの手段としても役立たなって行くと言われています（事実、家電量販店などではその傾向が高い）。

　これから少子化へ向かう日本ではマーケットサイズが減少し企業の淘汰が進むでしょうからポイントを選ぶ基準は企業の価値そのものであるという時代が来るかも知れません。

　そんなときに企業がそのときの懐具合で一方的にポイント価値を変更するのではなく、社債や株式に裏付けのあるポイントを発行するなど少し工夫すると、ポイントという価値を超えて企業への愛着？が深まってより囲い込みが増え、消費者もポイントの相対的な価値を意識して新しい取引形態も生まれそうです。（変動通貨的な感じよりも格付けに近い運用でしょうか？）

とりあえず現状ではさっさと使う

 　そんなこんなで、色々考えてみたものの現状ではさっさと使う事が一番です。一番良いのは電子マネーなど「通貨」に交換してしまうこと。とりあえず、ビックポイントは今月中に全てSuicaに交換してしまう予定です。

ソフトバンクの収益があっさり好転しそうな件→カギは月月割の制度変更

　ついにとういか、予想通りというかソフトバンクの収益改善に向けた取り組みが見えてきましたね。まずは基本使用料の割引きから月月割の対象外にする事から。

ソフトバンク、基本使用料を「月月割」の対象外に 
ソフトバンクが反発　「4〜6月期営業益1000億円超」報道

　日経新聞の報道では大和総研の大杉直人アナリストのコメントで「（割引き契約が適用される）割賦販売の利用者が満期以降も携帯電話を使用すれば利益率が改善するため、通期業績が想定より上振れる可能性もある」というものがあります。

一気に収益改善を目指すシナリオ

　これは2006年から始めた新スーパーボーナス契約の2年契約の更新が本格化する中で、月月割を基本使用料対象から外すことがカナリの増収インパクトになることをさしていると思われます。「８円ケータイ」などで２台目をソフトバンクにしているユーザーが最低維持料金でこのまま所有するか、機種変をしてくれれば基本契約金額分まるまる増収になるというのが今回のポイント。

　先行して月月割の一部対象除外に関しては沖縄でテストをしてきたソフトバンクが実施に踏み切ったという事は多少の解約リスクを織り込んでも収益改善の即効性が高いと判断したのでしょう。

気になる寝かせケータイの存在

　某週刊誌やネットサイトに掲載された代理店の「寝かせケータイ」が今回の月月割の変更で無くなりそうですが、これによって契約数の減少（=端末流通量の減少）が引きおることは確かです。このまま行けばソフトバンク本体の収益は改善に向かう一方で、端末供給サイドは契約数の減少という厳しい現実に見舞われる事になるかもしれませんね・・（実態がどの程度あったかにもよりますが）。

　それだけでなく、個人の家族連絡用などの「寝かせケータイ」も存在していると思われますので、これらの維持コスト増加を嫌がる層は解約すると考えられます。

　結果、キャリアは利益を独占し、国内の端末ビジネスはさらに淘汰へ向かうというシナリオになるかもしれません。ソフトバンクの投資家はそれで十分満足する事は間違いないでしょうが、国内産業の育成とサービス開発という面において、先行者の後追いモデルでアリ続けるソフトバンクの会社としての存在価値はいったい何なんでしょうか？？（まあ、初期の段階で価格競争を仕掛けたという「挑戦者らしさ」はよかったですが）

ソフトバンクに次の戦略はあるのか？

　おそらく、このまま行けば月月割の制度変更とそれにともなう収益改善は業績レベルで大きなインパクトをもたらし、ソフトバンクのキャッシュフローに多大なる貢献を発生させるでしょう。これは新スーパーボーナス契約が始まったころから予測されていた「大人のソフトバンク」戦略の根底だったのですから。

　低価格と２台目需要で契約を囲い込み「ちゃりんちゃりんスキーム」を確立した上で、月々の支払い金額を増やしてキャッシュフローを改善していくというのは今のビジネスでは一番成功するモデルです。

　ただし、タイムマシン経営の携帯版として先行日本モデル（ドコモやau）をそのまま日本で実行しつつ、技術ではなく課金スキームで先行することで投資事業としての成功を目指した彼らが、次のビジネスをどの様に進めていくのかが気になります。

　かつてはそれでも”ベンチャー的”な企業だったソフトバンク。孫社長の引退も近づく中でインターネットから通信へシフトしながら巨大インフラ事業体となった彼らのExitはいかに？

 

何も買わなきゃお得、北京3泊4日食事観光付で29,800円の格安ツアー（続）

　長くなってしまったので前回（皇帝の子孫も登場?!北京3泊4日食事観光付で29,800円の格安ツアーのカラクリ）の続き。ＩＴネタではないけど一応「マーケティングの観点から」という体で投稿、てへ。

「観光」だけなら半日で十分な内容だけど・・

　北京市内観光は「天安門→天壇公園→故宮博物館」を１日で巡るスケージュール。ただ、この3カ所は車では20分以内という近さです。普通ならゆとりある日程のためじっくり観光出来そうな気がします・・・が。

【写真】天安門広場前、余談ですが市内の地下鉄駅とココはセキュリティーチェックや防犯カメラ多数あり厳重警備。

　観光には各スポットで１時間〜２時間程度しか滞在しない上に、郊外のお土産屋にもわざわざバスで移動した上で１時間ほど滞在します。つまり、本来観光だけなら半日で十分OKなのですが、お土産屋に連れて行くために結構な時間をかけているわけですね。移動はバスなので余り気づきませんが、環状高速線を遠回りで走ったりして、車内販売？の時間も稼ぐという高等テクも使っています。

民芸品屋は翡翠で価格感覚を破壊してから

　そして、翡翠（ひすい）などの民芸品店へ。１階は「博物館」というカタチを取っているので芸術鑑賞という事になっており、原石の説明文などを入れた「高額な作品」が並んでいます。もちろん「有名な作家（具体的な名前や功績は説明しない）」が作ったという作品達。ただし、これらも”鑑定書付き”で４０〜１００万円とお得（民芸品屋曰く）に購入することも可能です。

　ツアー客には石の置物は持ち帰りのハードルが大きいのでほとんど売れていませんでしたが、なんと地下にはストラップや指輪など急にお手頃になった商品がならび、「これなら買えるかも」という心をくすぐります。

　もちろん、市中のお土産屋で１０元で売られている商品が５０元という値札で貼られて売られている事は秘密です。ここでも帰り際には「特別に２個でも１個の値段でOK」という"あなたには特別"トークがささやかれている事は先に買った人には知るよしもありません。

サプライズプレゼントは印鑑（ただし字はなし）

　さてタタミかける販売攻撃は休む所しらずであらゆるパターンを駆使します。昼ご飯前の移動中の車中では、サプライズプレゼントとしてガイドから袋に入った印鑑用の瑪瑙（めのう）の石がタダで全員に配られるのですが、これも当然有名な販売手法。

　そのまま持って帰ってもOKですが、たった１本1,000円で当日中に字数に関係無く彫ってくれると言うのです。まあ、これはお得！（←ＴＶショッピング調で）しかも今回限り印鑑屋のサービスで朱肉付きのケースもプレゼント・・って、ＴＶ通販かよ・汗。

【写真】「印鑑の石」を箱付きで全員にプレゼントしてくれます

　石が本物なら確かに日本なら彫り賃込みで１万円近くするお店も多いので、これは飛ぶようにオーダーが入ります。それにしても1,000円とはなかなか絶妙なプライス。年齢層が高いツアーメンバーには子供のお土産に丁度良いようです。

　皆さんどんどん申し込みをするという場の雰囲気もあって一瞬買いたくなりましたが、すでに実印は持っているし、シャチハタもあるので我慢・・・てか、いらないか確かに。でも、石だけ貰ってもなぁ・・ツボ押しにでも使うか。 

最後は専属カメラマンのフォトアルバム

　このツアーにはガイドの他にカメラマンとしてアシスタントが付いています。若い女性で献身的にツアーをサポートするのですが、名所ではスナップ写真を沢山撮り、最後にグループ毎にアルバムを作成して最終日の空港へ向かう車内で販売してくれるのです。

　ちなみにお値段は写真１枚５００元（約８００円）・・コレは正直高いけど日本の感覚ならまあ払える価格。不要なページはその場でバラして返せる仕組みで、４〜１０枚ぐらいのページ数です。その中から３枚程度買っている方が多いですね。私も、せっかくだからとこれだけはチップ代わりに３枚買いました。

　・・・ここは、情が少し移ってしまいさすがに根負け。しかも旅の最後の最後で印刷されて配られたアルバムを買わずに返すことは雰囲気的に気が引けますし。

それでも結構楽しめたツアー構成

　と、いうわけで、実際ツアーに参加してみると想像以上の物販攻撃と巧みな誘導にカナリ感心させられます。そして、年配層を中心としたツアーメンバーの購買意欲には目を見張るばかりです。

　彼らに言わせれば、多少高くてももう次に来ることはないし１人で市中を歩く自信もない、それにツアー代金が安いからかまわないとの事。確かに、色々離れた観光地を個人で回るのは高齢者にはハードルが高いですし、団体でショートカットしながら見所へ案内されるのは結構楽ちんです。

　日本語が話せる現地のガイドも当然、売り上げに繋がるツアーお客さん達には総じて献身的にケアしてくれますから、ビジネスとして互いのニーズを満たしているわけですね。

昼と夜の食事もそこそこ

　ちなみにツアーでの朝食以外の食事もそれなりに美味しかったです。ただし、ガイドの裁量（お土産の売り上げ？）で出てくる品数や内容が変わるという噂アリ。あと、店員から進められる追加の飲み物とデザートはオプションで通常価格より高めなのでそこで帳尻合わせている可能性はあります。ただ、不満なら頼まなければOKで、しつこくせがまれることはありません。

【写真】ツアーに含まれた夕食の全聚徳の「北京ダック」はタレが美味しかった

結局「せっかくですし需要」で成り立つ商売

　私の参加したツアーの平均年齢は老舗大手旅行会社主催と言うこともあって５０代後半で参加人数は２６名。上記では触れませんでしたが夜のオプションツアー（京劇やカンフーショーで参加費は４００元と割高）の参加率は８０％で、お土産やオプションなどの購入金額は平均で１．５万円ぐらい。価格設定からカナリの利益率で販売しているのは明らかでこれだけでも十分商売が出来ます。

　これなら現地旅行会社が安い値段で現地観光を受託しても、ツアー客の「何も買わないのもねぇ〜」という消費欲求を確実に抑えているので十分成り立ちそうです。若者向けの大手旅行会社とは違い、年齢層の高い参加者が見込めるこのツアーは「日本からの無料送迎バス」と考えて現地旅行会社がタダで卸していたとしても不思議ではありません。

　そしてお客さんにとっても「最後まで真実を知らずに楽しめたら幸せな事も在る」と言うことでしょう。もちろん、「知っていながら楽しむ」という事でもOKで”自己責任”なわけですから、このツアー企画自体には十分な商品価値が有ります。

日本の旅行会社的にこれでＯＫなのか？

　ただ、お試し価格で参加できるこの手のツアーは今後もリタイア層を中心に人気になると思うので、「将来の見込み客」であるツアー参加者に対して、行き過ぎた商売を現地旅行会社がしないように有る程度はチェックが必要だと思います。最初は良かったのかもしれませんが、現地の判断でギリギリまで質を落としていく事は良くあるので。

　と、言うわけでサービス業は定期的なアンケートやモニタリングが必要だなと改めて感じた次第です。この辺はツアー旅行慣れした方達には「お約束」なので慣れてしまっている感覚ではありますが。

　・・・以上、強引にまとめ。

＊エントリー時の為替レートは１元＝約１６円

皇帝の子孫も登場?!北京3泊4日食事観光付で29,800円の格安ツアーのカラクリ

＊最初に・・・すでにこの手のツアーに参加した人が読むと気分を害される内容があるかも知れません。

　ちょっくら北京に行ってきました、理由は安いから。大手旅行会社を利用して北京が3泊4日29,800円でしかもデラックスホテル宿泊＆観光・全食事付き。これは今しか行けないと参加。ただ行くだけではつまらないので、どうしてこんなに安いのか考えつつ楽しんできました。（ちょっと話題がネット関連と違ってすみません）

格安ツアーに学ぶビジネスモデル

　基本的に楽しかったツアーですが、参加者の多くが「ツアー代金が安いので元々多くを期待していない」という点を踏まえて読んでください。逆に言えば理解した上で参加すれば十分満足できると思います。ここにこのツアーが成り立つ理由があります。

　また、前知識として、日本の旅行会社はこの手のツアーについては飛行機の手配と集客の担当をしていますが、空港送迎や観光などは現地資本の旅行会社が担当しています。

飛行機は往復全日空

 　ツアーの日程は1日目は夕方に成田を出て深夜に北京に到着、2日目に万里の長城など郊外ツアー、3日目に故宮博物館など市内ツアー、4日目の早朝に北京を出て成田の帰国という感じです。実質２日間しか北京にいない上に、フリータイムはほとんど無く食事も全てツアー内に含まれる拘束時間が多いタイプです（ココがポイント）。

　飛行機は往復全日空。中華系を想定していたのですが意外にも日系。ホテルはデラックスホテル（北京飯店またはマリオットシティーウォール）という事でしたが、結局北京飯店でした。

　実は同じ旅行会社主催で同様同額で「北京飯店指定」のツアーもあり、そちらを避けた方がこのツアーに流れていたのですが、参加したら北京飯店ツアーという事に。私もマリオットの方が良かったなぁ・・この懸念はすぐに現実のモノに。

ホテルの朝食会場はなんと元通路・・

　北京飯店は老舗高級ホテルなのですが、ツアーで宿泊する新館は廉価タイプで部屋こそ広いもののサービスはあまり期待できません。サービス人員の表情もイマイチやる気ナシ・・って、これは北京だからしょうがないか。22時には経費節減でロビーが消灯し、正面玄関も閉まってしまいます（脇の入り口は開いている）。

【写真】レストランへ至る綺麗な吹き抜け・・と思ったらこの通路自体がツアー専用朝食会場（左下）でした。

　さらに、ツアーの朝食会場はホテルレストランではなく地下の吹き抜け通路部分を仕切って設営した「現地旅行会社の特設会場※」。 朝食内容もバフェスタイルですが市販の食パンや卵焼き、おかゆなどあまり美味しくないモノでした（いや、正直言ってまずい）。

　※この現地旅行会社は様々な日本の旅行会社が企画する北京ツアーの現地観光を受託しているので、朝食会場には様々な大手ツアーブランドのバッチを付けた日本人が数多く集まっています。

「あの○○に宿泊！」は逆効果だったかも

　これを「あのデラックスホテル宿泊」とパンフレットに銘打った旅行会社の企画担当者はおそらく現地の状態を理解していないのでしょう。マーケティング的にホテルだけをウリにしていたらクレーム必至の状態だと思います。まさか、国賓も利用すると言われる隣の系列ホテル「ラッフルズ北京飯店」と勘違いしてる？

　みなさん、安かろう悪かろうで明るく？我慢してましたけど、パンフのコピーに対する信用は落ちていましたね・・「今後はこの会社の高いツアーを利用するのは怖いね」と。

【写真】結構大きなホテル。となりに超豪華な仕様の「ラッフルズ北京飯店」がありますが系列の別ホテル扱い、スタッフも違います。

【写真】室内は古さは目立つものの広めで十分。バスタブの出が悪いのは「仕様」とのこと。

　でも、私個人的にはぜんぜんOKです。旅行代金が３万円未満の上に北京のど真ん中で地下鉄の駅が目の前のホテルですから。ただ、マリオットならこんな事は無かったかな・・と思うとちょっと残念だっただけです。

　もしも旅行会社の担当者の方や旅行を予定している方がご覧でしたら、「老舗ホテル・北京飯店利用の格安ツアー」には”あの北京飯店に宿泊”とか付けて過度な期待をさせないようにしてください。（笑；）

観光は基本的に買い物中心で構成

　結論から言うとこの北京格安ツアーが成り立つ理由は「参加者のオプションツアーと買い物」です。鉄板ですみません。誰もが想像している事態なので驚かないとは思いましたが、参加してみると納得できます。売り方が上手いのです、群集心理とTVショッピングをミックスしたナイスマーケティング。

　食事も含めて拘束時間が多いこのツアーでは市中のお土産屋は指定されたお店以外に立ち寄る暇がありません。しかも、食事もお土産も繁華街から離れたお店のため、そこでしか買えない上に高い。さらに、１日目のバスの中で帰りのお土産品を試食販売します。

　チョコやクッキーが１箱1,000円程度なので、すごく高いわけでもなく日本のお土産の相場をよく見たイイ商売です（ただし、市中ではほぼ同じお土産が500円程度、袋入りなら200円程度で売られている事はナイショです）。

掛け軸販売で高額コミッションを狙う

　市内観光では、世界遺産である天壇公園に行きます。なんとその敷地の中には画廊があり、清朝最後の皇帝で愛新覚羅溥儀の従兄弟に当たる「兆基」なる人物がたまにいて運が良ければボランティアで書道を書いてくださるとの事。はい、ここテストに出ます「運がよければ」。

　ほぼ休憩時間か風邪でも引かない限り必ず存在すると言われる「愛新覚羅 兆基」さん※。画廊前でツアーのメンバーを待たせてガイドが確認しに行く所などなかなかの演出（ただ準備してるだけだと思うけど）。

　書はそれなりに上手で、気さくに撮影にも応じるのでココまでするなら本物だろうと思っていまいますが、一言もしゃべりません・・不思議。

※ちなみに、いろんな名前のバリエーション・・いや「子孫」の方がいらっしゃるようです。

 
【写真】中国でも有名な書道家「愛新覚羅 兆基」さんと紹介された方（その割には店員からお茶が出されるわけでもなく、持参の魔法瓶でお茶をすする・・やはり迫害されているのか・笑？）

　検索するとずいぶん前からボランティアで観光客相手に書かれているそうですが、本人の写真が違うし同様の指摘をなさっている方もいます・・お年を召されて少しお顔に変化があったのでしょうか？世界遺産の公共施設の中にある画廊がまさか・・と思ったりしますが、これも旅のアトラクション的要素か。

世界遺産と自称「愛新覚羅の末裔」ビジネス

　ちなみに、LIVEで書いてくださる掛け軸はボランティアとのことで１文字２万円で“鑑定書”付きというお得さ。画廊退出時には最後まで残っていた人に対して破格の１万円でサービス販売していることは秘密です（もちろん最初に買ってしまった人には内緒）。

　他にも、沢山の「有名な作家」が書いた上手な掛け軸が販売され、田中真紀子さんなど各国のVIPがコレを買っていったなどと説明があります、信じるものは救われるレベル。

【写真】まさか、世界遺産の公園内の画廊で・・こんな事が！？

　美術品を買ったことある人なら判りますが、「額装だけでも結構するのでお買い得です」との触れ込みで１万〜３万の値段で販売されているという事は、逆に言えば絵に価値はほとんど無いと言うこと。

　「兆基さん」の書道も仮に「愛新覚羅家の末裔」だとしても毎回こうも沢山書いていれば価値なんてたかが知れています、値上がり確実とか日本なら人間国宝級とか言い切ってガイドが紹介し、画廊が販売するのはどうかと。

　これって、○○商法に近いかも。当然ながら画廊からガイドの所属する現地旅行社にコミッションがあるのでしょう。

　もちろん、本当に皇帝家の方ならば旅行会社もパンフレットに「ラストエンペラーの子孫に会える！」とか載せればカナリの目玉になりそうですが・・真実は如何に？

　長くなってしまったので、つづく。

＊エントリー時の為替レートは１元＝約１６円です。

岐路に立つネットの広告モデル企業→新聞社に買収されたり、携帯事業へ進出したり

　ＥＣナビが携帯事業に乗り出すというニュースが昨日出ていましたね。思えば、今の不況下では広告モデルの企業は軒並み減収減益で実はけっこう存続の危機に陥っている所もあるようです。

　かねてから経営不振と噂させていた某ネット企業を買収した大手新聞社なら、規模も大きく多少の広告の伸び悩みでもカバーできますが、中小の新興ネットメディアやコンテンツ業者は苦しい状況と言えます。ネットでアライアンスを組んでアドネットワークを模索したりしていますが、所詮広告主の出稿意欲が高まらないと小さいパイの取り合いに過ぎません。

　参考：ECナビ、au網のMVNO「ECナビケータイ」発表  

事業には安定的な収入源が必要

　私も、社会人時代に新規事業の立ち上げをやっていましたが、広告ビジネスは付加機能であくまでも課金をベースに事業計画を作っていました。やはり、日銭が確実に入る課金ビジネスは事業を行う上でも計画が立てやすく、なにより収入源を出稿主の事情であっさり断たれるというリスクを回避するにはコレが一番です。

　特に設備投資を伴う事業の場合、ランニングコストや償却費など定期的な出費がありますので、その分だけでも確実に回収出来るようなキャッシュフローが無いと黒字倒産という憂き目にあってしまいます。

　余談ですが、広告というのは不思議なモノで、ある程度知名度がある商品は、一定期間広告を打たなくても急激に売り上げが下がる事はありません。つまり、ある程度集中的に出稿させて「思い起こして貰う」戦略を取った方が常に出稿しているよりも効率良く印象を植え付けて「久しぶりに買ってみるか〜」という購買行動につなげる事が出来たりします。（もちろん商品にもよりますけど）

社長の頭は課金の事でいっぱい

　そんなこんなで、社長さんはよく事業担当者に「ちゃりんちゃりんで頼むよ〜」などと口にします。もちろん、その意味は稼働しているだけでお金が入ってくる仕組みを考えてくれと言うこと。・・・いえいえ、そんな楽して稼げませんって（汗）。

　課金ビジネスと言えば小売りは結構魅力的です。仕入れして販売するとその場で現金が集まりますが、仕入れもとへの支払いは1ヶ月〜３ヶ月先なんて事はざらですから、仕入れてからすぐに販売できればそれだけ利益が大きくなります。逆に言えば手元のキャッシュは事業を継続する限り残りやすい体質になるわけです。（ただ、自転車操業に陥ってしまいやすく、どこかが手を引くとババ抜きになってしまうのでイキナリ倒産してしまうリスクもありますが）

デジタル課金万能説

　そんな中、今脚光を浴びているのがデジタル課金系のビジネスです。 これまでの課金ビジネスは小売りもそうですが、事業を始めるために大きな投資を設備の維持にカナリのお金が必要でした。ところが、デジタル課金の場合は装置のサービス業者が「土管屋」に徹している場合、それをシェアする事で少ない元手で事業が開始でき、かつ課金インフラが整っていれば集金のリスクも少ないため事業をする側にはかなりの魅力的な環境と言えます。

　携帯電話を通じた「月額３００円」サービスも統一のインフラを使って何万にもの会員を集めることが出来れば、月に何百万もの収入源となりビジネスとして十分成り立ちます。しかし、今回ＥＣナビが一歩踏み込んで携帯電話事業にまで踏み込む理由はどこにあるのでしょうか？

溢れるコンテンツビジネスで「立地」の壁

　携帯電話やネットサービスの課金ビジネスで最後の壁がサービスを常に利用して貰うための露出です。リアルビジネスでもそうですが、ユーザーの動線上に店を構えることが収入の大きな差を生みます。特にどこでもほぼ同じ値段や内容で手に入る「日常的（代替え可能）商品」の場合、ユーザーの関心は打っているモノでなく場所（手に入りやすいか）に移ります。

　結局、携帯電話向けサービスを準備しても、ユーザーは携帯からネットワークに繋がる際にポータルページやブックマークで別の企業のサービスへ誘導されてしまうリスクが在るわけです。これではせっかくの「チャリンチャリンビジネス」へ誘導できないどころか、解約のリスクにすらさらされてしまいます。

　とは言え、ユーザーの携帯端末を自社の端末化すればサービスの囲い込みが確実かと言えば・・・日本の携帯の買い換えニーズの潜在的な高さから考えれば厳しいかも知れません。ECナビに今後も新機種を投入し続けるだけの体力と意志が維持できるかが注目です。

２つのニュースから見る今後のネット企業の未来・・

　今回、ＥＣナビは「課金ビジネス」と「ユーザー動線の確保」という２つの目的で携帯事業に参入し、企業存続のライフラインであるキャッシュの確保を目指すことにしたようです。さて、広告型モデルを中心としたネットメディア企業を買収した大手新聞社は今後どうするのでしょうか？？

ソニー株主総会に見る３Ｄ（立体）ＴＶと、次のブレイクスルー（AR:拡張現実感）

先週、ソニーの株主総会がありまして、
せっかくなので行ってきました。

　内容は色々メディアでニュースになっていますが、感想としてはやはりソニー好きな株主が多いので軽いファンイベントみたいな感じでしたね

　一つ気になったのがメディアの取り上げかたは一部株主の発言を引用して「批判続出」みたいなニュアンスですが、会場はそんな雰囲気ではありませんね。この辺がちょっと恣意的というかマスコミクオリティというか。もう少し正しい報道が有ればいいと思うのに、おそらく「批判」みたいなインパクトのあるタイトルにしないとデスクに採用されないから現場の記者も過激な表現を意図的に選ぶのでしょう・・。

　ストリンガー会長も時折笑顔を見せながらの受け答えで、株主の質問も厳しい質問と言うよりも叱咤激励が多かったです。ま、それはさておき、本題。

次世代の本命、立体（３Ｄ）ＴＶ発売へ

ソニー・パナソニック、次は３Ｄ　ＴＶ・ブルーレイ、来年販売

　株主総会が行われた高輪プリンスホテルの別会場では今年もソニーの技術展を合わせて開催。そこでは、今後発表されるであろう技術に関して展示や解説が行われました。話題の「PSP Go」も会場で実機が楽しめ（グランツーリズモやブラウザの体験ができました）、ちょっとしたソニーファンの集いの様。

　その中でも注目されるのが立体（３Ｄ）テレビ。 展示コーナー最後に複数台展示し、来場者にメガネを配って技術を体験できる趣向です。ハリウッド映画の３Ｄ対応が今後進むため、いずれＴＶも対応することになりそうですが、技術員の話によると今年の秋に予定されている規格が固まり次第いつでも販売できるとのこと。

　このまま無事行けば、ハイビジョン３Ｄテレビはおそらく来年には製品化されて、対応したブルーレイを再生することで家庭でも立体像をみれる事になりそう。正直、メガネをかけないとみれないため、メガネを別売りでいくらで販売するのかとか、デジタルＴＶは対応しないのかとか・・このネタは色々考えたくなります。

地上波以外の配給手段がカギ

　ブルーレイの３Ｄに関する規格が固まると「映像フォーマットとしての３Ｄ」がついに解禁になります。撮影機材はまだまだ高いので何処まで対応ソフトが立ち上がるかは不明ですが、メジャー映画以外にも様々な３Ｄ映像が配信される可能性があります。

　しかし、地上波デジタル放送は３ＤＴＶ普及台数の関係から平面画像での配信しかしばらくはできないでしょうから、ブルーレイ以外ではネットワークを使ったコンテンツ提供が有力手段になりそうです。

実は３ＤコンテンツはＴＶ以外が本命？

　大画面で立体を見る場合はＴＶと言うことになりそうですが、実際にそんな大きなＴＶを購入できる家庭はそう多くないはず。となると、ネットワーク型の配信を前提としてＰＣでの再生と個人視聴が中心となマーケットが立ち上がる事が予想されます。そして、更なる「迫力が欲しい方は大型ＴＶ」とつなげるカタチが理想か。

　３Ｄ対応のYouTubeやニコ動など何れサービスが開始されるでしょうし、そこで３D画像のおもしろさを体験した人は実際に作ってみたくなって、ARToolKitなどを使った拡張現実感のコンテンツ作成が盛り上がるかも知れません。どうせ３D見るためにメガネを必要とするなら、グラストロンみたいにして、そこに拡張現実感を合わせて入れたら一層楽しめそうです。

拡張現実感は次の技術革命となるか

　今の拡張現実感はカメラを通してみる平面の画像の中にコンピュータで合成した画像を入れていますが、３D画像の中に３Dを拡張して入れ込めばさらに没入感が楽しめそうです。むしろ、ただ座ってみるだけの映画などのコンテンツよりも、３D拡張現実感を使ったゲームなどインタラクションコンテンツの方が感動は大きいでしょう。

　もちろん、この手の普及のカギとなる例のキラーコンテンツも参入するでしょうけど。３Dを使ったインタラクティブコンテンツは他にも医学や教育、技術のシミュレーションにも使えますし、人間の経験と行動をサポートする新しいツールになる可能性を秘めています。日本のソフトパワーで３Dを使った様々なコンテンツに力を入れていけば人の新しい生活スタイルを提案できるかも知れません。

Sonyよ今度こそソフトで負けるな

　セカンドライフのような平面の中に展開された立体空間はあくまでも「セカンドライフ」であったためハードルが高く、イマイチ盛り上がっているとは思えません。が、テレビをはじめとして現実感のなかで広がる３Dの世界はファーストライフに直接影響するため、ブレイクする可能性が高いと思っています。逆に言えば、今のまま３D映画だけしか再生しない３Dテレビではつまらないので、インタラクションまで含んだ新しい世界観の提案は不可欠でしょう。

　現実空間に広がる３Dの世界観がTVを通じて広く知れ渡った時では遅い！画期的な感覚に訴えるコンテンツサービスをハード（TVやゲーム、ソフト）と合わせて提案できる会社はそう多くありません。今回もまた出来ないならば、他の企業や方がやるだけでしょう。・・・是非、皆さんもビジネスチャンスを逃さずに（笑）。
（＊この予想が外れても責任とれませんけど）